防災教育について(平成23年6月定例会一般質問その2)

一般質問内容 平成23年6月14日

  1. 青パト導入について
  2. 防災教育について
  3. 防災士取得に助成を
  4. 防災から考える給食施設

会議録検索システム

一般質問の議事録 平成23年6月14日

 二つ目の質問に入らせていただきたいと思います。防災教育についてお伺いいたします。今回の東日本大震災で、非常に大きな注目を集めたのが、釜石市の小中学校で行われている防災教育です。常日ごろから避難三原則、これは想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先して避難せよ、これが三原則ということですが、これをもとに防災教育を行い、今回の震災でもこの三原則を多くの生徒が徹底した鵜住居小学校361人、釜石東中学校222人のほぼ全員が避難をし無事だったということです。また、既に8割もの児童が下校していた釜石小学校でも、全員が無事だったと言います。これは、学校という集団の中にいなくてもそれぞれが、それぞれの判断で原則を徹底したということの表れです。釜石小学校の校長先生は、大人たちでも足がすくむよう状況で、子供たちは学んだことを忠実に実践してくれた。しかも、全員がそうしてくれたことは奇跡としか言いようがない、と取材に答えています。マスコミなどでは、釜石の奇跡と言われていますが、何もしないで勝手に起こった奇跡ではありません。何もすまいがなければ起こらなかった奇跡です。日ごろからの徹底した教育、訓練、備えがあったからこそ起こった必然とも言える奇跡だと思います。しかし防災、文字どおりに災害を防ぐということですが、特に自然災害の場合は、災害そのものを防ぐということはなかなかできません。よく防災は減災、災害を減らす減災に過ぎないと言われますが、まさしく防災教育を徹底すればするほど、減災の幅を大きくすることは可能になります。教育や訓練が徹底されているのといないのでは、今回のような想定外の大ごとが発生した場合に、全く異なる結果が生まれます。伊那市でもこれまで以上に、徹底した防災教育が重要と考えますが、市長、教育長の見解をお伺いいたします。

○議長(伊藤泰雄君) 白鳥市長。

◎市長(白鳥孝君) 伊那市における一般市民の防災教育のメニューというのがございまして、これは土砂災害とか地震に備えて、主なものなんですけども、お出かけ講座というものがあります。これは平成22年度においては、防災関係が10回539人、自主防災会の研修が7回で228人という、そうした多くの皆さんの参加をいただいております。そのほかにも、防災講演会の実施、あるいは防災アドバイザーということも来られております。伊那市の防災訓練、防災マップの全戸配付、そうしたことをする中で、防災教育については東日本大震災の支援活動の報告会ということも高校生、中学生を対象に行っております。今後も、そうした声があれば市としては、積極的に学校に赴いて実施をしたまいりたいと思います。平成23年度でありますけれども、東日本大震災の関係で各自主防災会からお出かけ講座の申し込みが非常に多くなってきております。防災、それから今言われました減災について積極的な研修を行ってまいりたいと思います。ことし三六災から50年の節目に当たるということでありまして、過去の記憶を消すことなく後世に伝えていく、そうした作業を今の私たちがやっていかなければならないということであります。それから今年度の伊那市の防災訓練では、今回の大震災を踏まえまして実践に沿った訓練を計画しながら関係機関、それから自主防災会の皆さんと連携をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。

○議長(伊藤泰雄君) 久保村教育長。

◎教育長(久保村清一君) お答えをしたいと思います。このたびの東日本大震災における釜石市の小中学生の避難の様子、今、議員御指摘のとおりでございますが、新聞によりますとこの地域では「津波てんでんこ」という合い言葉がございまして、率先して実践して市民を小中学生が救ったと、こういう新聞記事が4月10日載っておりました。また、一方では大川小学校の児童のように逃げるのが遅れて多くの犠牲者が出た、そういう事例を考えてみますと、学校での防災教育の大切さ、とりわけ教師の指導とか判断、これが極めて重要であるということを改めて痛感をしているところでございます。そこで、4月の校長会におきましては危機管理防災マニュアルの見直しとか、それから大きな災害時には学校が避難場所となるということから、このときの対応マニュアルをつくっておくようにと、そういう指示を出したところでございます。私はこの大震災の中のもっとも大きな教訓というのは、今、御指摘の中にもあったと思いますけれども、やはり最後は自分の身は自分で守るんだと、こういうことではないかと思います。そういう力をいかにつけるかということではないかというふうに思います。災害はいつどんなときにやってくるかわかりません。そのとき、とっさの判断と正しい行動が取れるような学習や訓練を学校できちんと積み重ねておくことが大切だというふうに考えます。まずは、学校で行っている避難訓練、これを真剣に取り組むこと、また、通学区の中の危険個所などをきちんと把握して、その指導を徹底すること。また、地域の災害の実情、先ほど柳川議員の質問の中にもございましたけれども、地域の災害の実情に対応した具体的な防災教育というものを、一層進めなくてはならないというふうに思っております。また、とっさの判断と正しい行動が取れる実践的な学習の場として、私は行事で校外に出かけたとき、学校の中は避難訓練やるんですけれども、校外へ出たときがいい勉強の機会ではないかと。いわゆる学校以外の環境が変わったときをうまく使って、この自分の身を守るそういう訓練、あるいは防災安全教育とリンクさせていくというふうなことも、学校のほうに上手に使っていくように働きかけをしていきたいと、そんなふうに考えております。いずれにせよ、防災教育は不断の努力を必要とする教育でありまして、東海地震などの大規模災害や地域の特性による具体的な防災などについて理解を深めて、より実践的な防災教育を一層目指せしていかなければならないと、そんなふうに感じているところでございます。以上です。

○議長(伊藤泰雄君) 二瓶議員。

◆3番(二瓶裕史君) 今回の3月11日に伊那市では珍しくというか、数年ぶりに大きな揺れが、長い揺れがあったわけなんですが、そのときの市内の小中学校での対応というのは、どういうふうだったんですか、机の下に隠れようだとか、校庭にみんなを避難させたとか実際の動きというのはどうだったんでしょうか。

○議長(伊藤泰雄君) 久保村教育長。

◎教育長(久保村清一君) 具体的に数字ではつかんでおりませんけれども、机の下に急いで隠れたと、こういう学校がかなりたくさんあったと思います。これはやはり、普段地震がきたらまず身の安全を確保しろという、こういう訓練の成果ではないかというふうに思っております。

○議長(伊藤泰雄君) 二瓶議員。

◆3番(二瓶裕史君) 今回、小学校なんかで伊那のことではないですけど、下校をした後で起こった災害の避難の仕方というのも結構難しいと思うんですけれども、登下校中だとか、もう下校した後にこういう大きな災害が起こったときにはどうしましょうというような教育というか訓練、マニュアルのようなものがあったら教えていただきたいと。

○議長(伊藤泰雄君) 久保村教育長。

◎教育長(久保村清一君) これは学校できちんとやっているとは限りませんけれども、私が教員時代にやってきたことは、やはり身の安全を守れるような丈夫なものの下に隠れる、あるいはできるだけ壁に近いところへ逃げると、さらには戸を開けるということです。しかし、すぐに外へ逃げ出すということは、かえって危険もある。そんなような話をしてまいりまして、恐らくそれぞれの学校ではそんな話もこの避難訓練の機会にしてくれていると思いますけれども、一層そんな教育をしていく必要があろうかというふうに思っております。

○議長(伊藤泰雄君) 二瓶議員。

◆3番(二瓶裕史君) 防災教育というと思いつくのが、小学校中学校のときやった避難訓練だと思うんですけれども、思い返してみると小学校とか学校時代にあった避難訓練というのは、とにかく机の下に隠れてじっとしろ、しゃべるな、急いで校庭に出ろとおもしろくとも何ともないようなものだなという思い出があります。災害の悲惨な被害から思い返されるように、防災という言葉自体が怖いものとか暗いものという認識を持つ人も少なくないと思います。これは防災の位置、側面をとらえたに過ぎなくて、防災の取り組みが自らの命や周りの人の大切な命、そういったもの守ることにつながるというプラスの意識、いいことなんだというそういうことを意識させて、防災を前向きにとらえていくために防災教育の成功事例、こういことやったから、こんな効果が生まれてすごかったんだよという成功事例を伝えてあげること、それから環境教育、福祉教育などのほかの分野の取り組みを効果的に活用して防災の重要性に気づかせ、防災教育への自発的、かつ能動的な取り組みをうながしていくことが重要だと思います。そういうふうにおっしゃっている先生もいらっしゃいますが、全く同感でそう思います。いやいややらされるものではなくて、自発的に取り組むことが重要だと思うわけです。災害がくる、災害がくると繰り返し脅してばかりの狼少年的な防災教育だけではなく、防災教育はつまらない、避難訓練はつまらないといった印象を変える必要があると思いますが、これに関して何かいい策のようなものがあったら教えていただきと思います。

○議長(伊藤泰雄君) 久保村教育長。

◎教育長(久保村清一君) 先ほど、学校での防災教育これは、いわゆる学校という範囲でどうしても限られた訓練しかできないということで、もう少し幅を広げるならば行事のときに外へ出たとき、たとえば宿泊場所で地震が起きたら自分はどうすればいいのかという、そういうことを考えさせるという、これが本当に生きた防災教育であり、命を守ることにつながっていくのではないかなあというふうに思っております。私は、異論もおっしゃる方もいるかと思いますが、私は最大の防災教育、それは登山だと思っています。中学の登山これは学校行事の中では、先生方一番神経を使う行事でございまして、本当に下手をすると命の危ない面も当然あるわけですけれども、それをやっぱりきちっとクリアしてまた、すばらしい自然を感得する、これを乗り越えたときに子供たちは非常に大きく成長すると、まさに今、二瓶議員のおっしゃった楽しみながらと言うんですか、希望を持ちながらこの安全を守っていく、それを勉強する機会はまさに一番は長野県人でやっている登山ではないかと私は思っておりまして、そんなような考えでこれから子供たちに身近な防災教育を培っていきたいなと、そんなふうに願っているところでございます。

Share on Facebook
LINEで送る